仏事Q&A

葬儀・仏事 Q&A

徳成寺にお寄せいただいた、葬儀・仏事に関する質問

Q:葬儀はなんのためにするのですか?

A:最初に法律的なことを申しましょう。人が亡くなると医師による死亡診断書が書かれます。そして、何月何日何分に亡くなったというふうに死亡日時が書かれます。その日時から24時間置いて火葬することだけが法律で定められています。その他には何の規定もありません。
ですから、お葬式をしないといけない決まりはないのですが、それでも連綿と続けてきた事には理由があります。一つには宗教的な理由です。亡くなった方がどこへ行ったのか分からない迷子になったのではなく、はっきりした行く先に送り届けるという意味です。それが仏教では仏の国であり、キリスト教では、神の国であるわけです。
二番目には世俗的な理由です。長年一緒に暮した家族が亡くなったとすると、その家族に今まで保たれていた均衡・バランスが突如として崩されるわけです。お葬式というのは、崩れたバランスをもう一度築き上げる、個人亡きあとの生活の再構築という意味があります。

Q:葬儀をせずに故人を火葬するだけではだめでしょうか?

A:決しておすすめできません。それはお葬式をお坊さんの商売ネタにするために言っているのではありません。むしろ火葬だけで済まして、時が経ってとても後悔した方が多く見受けられます。上のQ&Aで書いたように、お葬式は、遺族にとって故人亡き後の生活再構築の厳粛なファーストステップです。第一歩目を間違えると、上にいくら歩みを積み重ねてもグラグラしてしまいます。なにも派手に葬儀をやる必要はありません。しっかりと執り行うことが大事なのです。
昨今の低料金で火葬のみで済ませようとする現代人のニーズとそれに答えようとする葬儀業界の流れは、人間を物質として焼却するかの如く、いのちの尊厳性を著しく損なう暴挙であります。

Q:葬儀の費用はどのぐらいかかりますか?

A:参列者の人数と葬儀の形式によって様々です。自治体が補助する市民葬なら高松市の場合、23万円のコースと13万円のコースが基本料金で葬儀を執り行うことができます。
その他の必要経費として僧侶の御礼(徳成寺の場合)・バス・タクシーなどの交通費・ドライアイス・寝台車や霊柩車の運行料金・会場利用料(徳成寺を利用する場合)・お通夜・初七日などの飲食費・会葬礼状作成費・返礼品・遺影作成費などがあります。これらを人数と単価を一つ一つ掛け算し合計すると、大まかな葬儀費用の総額が出ます。詳しい見積もりは、こちらのフォームへお問い合わせ下さい。

Q:六文銭について教えて下さい

A:三途の川の渡し賃と言われます。もともと葬儀の折にお棺の中に入れる副葬品です。
この娑婆世界から三途の川を渡って、彼の岸にたどりつく前に六文銭を持っていないと、懸衣翁(けんねおう)や奪衣婆(だつえばあ・別名しょうずかばば)がいて、衣服を剥がされるという十王経の記述により、これらのことが言い伝えられています。

Q:おりんはどこを叩けばいいのですか?

A:私のように、毎日おりんを叩いている者にすると、当り前のことでも、一般の方には分からないことたくさんありますね。右側の側面をおりんの棒を軽く握っておりんの縁の下、2~3センチの部分を水平に叩きます。おりんの内側を叩いたり、おりん棒をつまんで手前を叩くことはありません。

Q:仏教では死後のいのちをどう取り扱うのですか?

A:四十九日の中陰といって、次の生へと生まれ変わるまでの宙ぶらりんの期間を説いた一方で、死後のいのちを考えることなどは、戯論(けろん)として寂滅するように諭した面もあります。これらは具体的な人間の苦悩に応じて説かれたものではないかと考えます。つまり最愛の人を亡くして喪失感に苦しむ人には四十九日は癒しのプロセスになるでしょうし、知的関心で死後のいのちを知りたがる人には、寂滅せよと諭されたのだと思います。いのちとはこういうものだという定義になじまないのでしょう。規定することで、誰かを説き伏せてもあまり意味があることではないのです。
定義とは別にいのちは生きているものだからです。

Q:お墓に水をかけるのは先祖に対して失礼にあたるのですか?

A:先祖の顔に水をぶっかけるようで、失礼なのではないかというご質問ですね。しかし水をかけてお掃除しないと薄汚れて汚くなってしまいますよね。その方がよっぽど失礼な気がするのは私だけではないと思います。お墓に水をかける行為はお掃除する上で必要な行為です。大らかに考えて下さいませ。

Q:奈良・京都の古いお寺に、三体の仏像が並んでいますが、あれは何ですか?

A:三尊像といいます。阿弥陀三尊像は、阿弥陀如来と勢至菩薩と観音菩薩です。
仏様は、お一人でお出ましになるのでなく、水戸黄門の「助さん・格さん」のようにお伴を連れています。釈迦三尊といえば、お釈迦様と文殊菩薩と普賢菩薩ですし、薬師三尊といえば、薬師如来と日光菩薩・月光菩薩です。浄土真宗のご本尊・阿弥陀如来のお伴は勢至菩薩と観音菩薩です。
観音菩薩は有名ですね。私たちが苦しむ時、「音をあげる」といいますが、苦悩をしっかりと受けとめて下さる菩薩で、母のような優しさ(慈悲)を表しています。反対に勢至菩薩は、父のような厳しさ(智慧)を表しています。子である私たち衆生が父と母にしっかり守られて決して見捨てられることがないという阿弥陀如来のはたらきを担っている菩薩方です。

Q:仏さまはバチをあてるのですか?

A:よく「このバチたりめ!!」といって、他人を誡めることがありますが、実際に仏さまは人間にバチを与えるようなことはしません。むしろ応援し続けます。仏さまとは、目に見えないけれども、空気のように陰ながらずーっと私たちを支え続けるはたらきです。それで日本語に「おかげ様でありがとうございます」という言葉があるのです。反対にバチやたたりを与えると考えた宗教もありますが、仏教にはそんな考え方はありません。

Q:真宗と真言宗は同じですか?違うのですか?

A:真宗は詳しくは浄土真宗のことで、讃岐では一向宗と呼ばれ親しまれています。本尊は阿弥陀如来で、ただ「ナンマンダブツ」を称える教えです。真言宗の本尊は大日如来で、主に般若心経をとなえ、お霊供膳というお膳をお供えしたりします。

Q:身内にお葬式ができると、神社の鳥居などをくぐってはならないなど神事に関わってはいけないのですか?

A:神道では神様が死を忌み嫌うので、四十九日の間神棚に目隠しなどを死を見せないようにします。これは神道の儀式なので、詳しくは神社か神主さんにお聞きください。ただ仏教にはそんなタブーは一切ありません。

Q:お彼岸とは、いつからいつまでのことですか?

A:案外知っていそうで知らないことですねぇ。お彼岸は毎年の春分の日・秋分の日を中心に考えます。その春分・秋分の日こそが両お彼岸の中日なのです。中日から数えて前の三日間と後の三日間の合計七日間がお彼岸の期間になります。日にちは毎年変わるのでお間違えないように。

Q:お盆を迎えるのに、どんな心構えでいればいいのですか?

A:お盆の由来は、目蓮尊者が餓鬼道に落ちて苦しんでいた亡き母を、お釈迦様の勧めにより夏安居(雨季の修行)の最終日に、仲間の僧侶たちに施しをして供養することで救い出したことからはじまったと言われます。なぜ、目蓮の母親は餓鬼道に落ちていたかというと、自分の家族は大事にしたけれども、それ以外の人々には一切施しをしなかったためと言われています。
ということで、亡き人々の生前の生き方を鏡にして、自分の今の生き方を照らし出し見つめなおしてみることが、お盆を迎える心構えだと思います。

Q:年忌法事は年を追うごとに規模を縮小するんですか?

A:いいえ。三十三回忌になろうと、五十回忌になろうと、しっかりとお勤めしてくださいませ。
それだけの期間にわたって私たちを生かして頂いた仏さまとご先祖への感謝の気持ちが法事
の基本です。派手にする必要も縮小する必要もありませんが、しっかりとお勤めしてください。

Q:お悔やみの文章はどう書いたらいいですか?

A:お悔やみの文面もいざとなるとなかなか思い浮かばないものです。かといってマニュアル通りではつまらない気もしますもんね。
そこでワンポイントアドバイス。お定まりの文面を参考にしつ つ一箇所でいいので、故人さまと自分の間にだけあったエピソードを付け加えると、グッとお悔 やみ文が引き締まり印象的になりますよ。

Q:49日以降の法要も、服装は礼服でなければならないのですか?

A:服装のことも実際問題として一番に悩みますよねー。お通夜・葬儀・告別式には礼服がふさわしいのですが、49日以降は、清潔で派手な服装でなければ結構ですよ。

Q:葬儀の際に、高価な祭壇ほどいいところに行けるのでしょうか?

A:「いいところ」とは死後の世界の極楽浄土ですね。そもそも葬儀の祭壇は仏さまの世界を象徴しています。
しかし高いお金をかけることが極楽に行く条件ではありません。阿弥陀さまという仏さまは、日本語で「おかげさまでありがとうございます」と言い表された陰ながら私たちを支える力(はたらき)です。目には見えないけど私たちを支えている「おかげ」に頭が下がることを「南無」と言います。
「おかげさまでありがとうございます」とお陰の力に頭が下がることが「南無阿弥陀仏」なのです。この「南無阿弥陀仏」を称える他に浄土に往生する道はありません。

Q:法事のお供えは菊まんじゅうでないとだめなんですか?

A:決してそんなことありません。年忌法事のお供えは、白餅・落雁等となっていて、昔からおご馳走と思われた貴重なものを供えました。
たしかに菊の葉っぱに似せて作ったおまんじゅうが讃岐の仏事に用いられているのは事実ですが、必ずしもそうでなければならないことはありません。

Q:お仏飯の形は、家々で違います。円錐形のものや山なりのお饅頭型も見ます。
どれが正しいのですか?

A:宗旨によって、お仏飯の形はいろいろあると思いますが、浄土真宗の大谷派は円筒形です。
その形に押し抜く盛槽(もっそう)という道具があります。それを使うと簡単にできますよ。

ふつう、よくご家庭で見かけるのは、おしゃもじでお仏供を盛る「山盛り形」です。
しかし右の盛槽を使うと、

ご覧のように、円筒形のお仏供が簡単に出来上がります。右の写真は寺院用の盛槽です。使ってみてくださいね。

Q:年忌法事の数え方はどう数えるんですか?

A:年忌法事は亡くなった年を一年目と数え、丸一周年を「むかわれ」・一周忌と数え、丸二年が三回忌です。
以後丸六年で七回忌。丸十二年で十三回忌。丸十六年で十七回忌と覚えましょう。

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